日日是好日

日日是好日

日日是好日

庭へのおもい

2022.05.12

水滴が垂れる、清々しい青紅葉です。

新緑の季節。庭を眺めると、こころ清々しい佛になる。何の邪心もない。こんな素晴らしい心にしてくれるのは。

梅は、百花の魁(さきがけ)となって花を開き清香を放つ迄には雪にそして寒風にたたかれ、幾度の試練に耐えてきたか。歳寒の三友と称賛される梅に賛辞を送り庭を眺める第一歩でもある。当院の紅梅は何の由緒もないが二月上旬に花を咲かせ、次に椿の天輪寺月光(てんりんじがっこう)・紅白の侘助(わびすけ)。三月下旬には、八重の枝垂桜、そして杏の白い花が咲きます。藪椿が咲き、四月下旬には黒松の花粉が目をおおいたくなるほど周りを緑に染め、杉苔の新芽がでる頃には春・百花繚乱が終わりを告げます。立夏です。

大本山萬福寺の山門に立つと、菊舎尼(きくしゃ)の俳句をおもい出します。『山門を 出れば日本ぞ 茶摘み唄』当院の門前も六十年前は一面茶畑でした。この昔の幻影を想い出しながら、月日が去るのを数え、こころ清々しく庭を眺めて、いつまで頑張れるか考える時もあります。今日は雨上がりの好天。作務衣に着替えて、まずは庭に鎮座する守本尊のお身拭いから始まり、目につく草をヌキ、落ち葉拾いと一連の庭掃除。百丈懐海禅師の訓戒『一日作(な)さざれば、一日食らわず』の通り、自然と庭に対峙する。労働を強制されたものではなく、働くことが喜びに感じられます。素直に体が動き、これも修行とか佛道の実践と想うこともなく、自身が庭の一部であり、又、その行為が『随所作主』であり、私の信条です。

ある時、老婆が寺にやってきて話します。「和尚さん、いつもごちそうありがとうございます。」その老婆に御馳走したわけではなく、青葉の庭の清々しさが心を豊かにしてくれて、ごちそう様と言ったわけです。

以上、当院の春の折々でした。最後に、『庭もいきもの』手をかけ、こころをかけると必ず酬(むく)いてくれます。

 

 

水子供養永代供養墓の京都のお寺
〒611-0011 京都府宇治市五ヶ庄三番割34-3
宝善院(ほうぜんいん)
電話 0774-32-4683