宝善院には立派なお地蔵さま・かわいいお地蔵様・苔むした小さなお地蔵様と多く鎮座されています。今回は、苔むした小さなお地蔵様『腹帯地蔵』の紹介をします。水子供養にお越しの方へはよく紹介させて頂くお地蔵さまです。
このお地蔵様は、当院が建立された頃(三百三十年程前)からお祀りされていたのかもしれません。
子宝に恵まれます様に。安産である様に。身籠ってからもお腹の中ですくすくと順調に育つ様に。時折、お地蔵様の前で女性が願意を込め合掌されていることがあります。
先日、お寺に朗報が届きました。
以前に、お参りにお越しになられた方が、なかなか子宝に恵まれないという話を大黒(寺庭婦人のこと)にされていました。そこで、この『腹帯地蔵』さまに頼んでみたらと紹介したそうです。こころ素直に合掌して、子宝をお地蔵様に祈願されていました。それから二・三ヶ月後に一本の電話があり、子供を授かったと云う事です。その後、無事に出産をされ腹帯地蔵さまに御礼参りにお越しになられていました。
私(住職)も心から喜び、大黒に話をしたら、このお地蔵様は大変ご利益のある徳の高いお地蔵様で、私が紹介した娘さんは何人も立派に子を宿していると、一晩その話で持ち切りでした。
禅語に『一切衆生悉く佛性有り(いっさいしゅじょうことごとくぶっしょうあり)』とあります。世の中の目に見えるもの・見えざるもの全てにおいて佛を宿しているという教えです。妊娠されている母もお腹の子にも全てに佛性があります。
どうぞ、自身の佛性を磨く為・心願成就の為にもお地蔵さまへお参り頂けたら幸いです。お地蔵さまへは、どなた様もご自由にお参り頂けます。慈しみの世界をきっとお地蔵さまが与えてくださいます。
先日、塔頭の和尚様より蝋梅(ろうばい)の枝を頂きました。腹帯地蔵さまの右横にも蝋梅があります。
そんな蝋梅ですが、梅であって梅にあらずとよく聞きます。『蝋梅』とも『蠟梅』とも書きます。開花期は十二月から二月迄です。唐梅(からうめ)とも呼び、種は金槌で打たないと割れない硬さです。種を植え付ける時は、殻を割るか傷をつけるとよく発芽します。陽当たり・水はけの良いところを好み、庭の隅などに植えると他の植木とよく合います。
十二月中旬は、まだ硬い蕾ですが落葉するころにはチラホラと開花します。腹帯地蔵さまの近くに行くと、何か甘い鮮明な香りが漂います。すぐに香りの元にたどることが出来る程に豊かな香りを放っています。黄色の花ですが、和蝋燭(わろうそく)で作られた色をしています。
この蠟梅(ろうばい)という呼び方ですが、一年の終わりに咲く花として臘月(ろうげつ:十二月のこと)を字をもじったのかもわかりません。『光陰矢の如し』という言葉があり、怠けていたりすると自分の一生があっという間に尽きてしまいます。歳月人を待たずです。蝋梅を見て、自身のこの一年(子歳)を振り返り新たな丑歳への想いを発心してみては如何でしょうか。
今年の季節の分かれ目は二月二日、立春は二月三日です。皆様におかれましても良き丑歳になりますように祈念致しております。
水子供養と永代供養墓の京都のお寺
〒611-0011 京都府宇治市五ヶ庄三番割34-3
宝善院(ほうぜんいん)
電話 0774-32-4683